Subject   : 石油鉱床(petroleum deposit)

カテゴリー : 地学 > 


 石油鉱床(petroleum deposit)
 地下の岩石中に商業採掘の対象となるに十分の量の石油が集積し貯留されているもの。天然に産する主として可燃性の炭化水素のうち、常温・常圧下で液体状を呈しているものを石油(原油-oil)、気体状を呈するものを天然ガス、固体状のものをアスファルトと呼び、それらを総称して石油(petroleum)と呼ぶ。また、広義の石油の中には地下では気体であるが地上において凝縮して液体となるコンデンセート、及び固体と液体の移過部であるビチューメンが含まれる。

 石油の成因に関して有力な有機起源説によると、その根源物質は堆積盆地内に外部から運び込まれた大型植物片等の有機砕屑物及びその環境内に生息していたプランクトン・バクテリアなどの微生物の遺骸中の有機物が、埋没後に重合・縮合して形成されたケロジェンという複雑な組成をもつ高分子有機化合物である。埋没深度の増大による温度の上昇に伴うケロジェンの熱分解によって原油、続いて天然ガスが順次生成される。

 大量の炭化水素を生成する能力を持つ有機物に富む岩石を石油根源岩と呼び、泥岩・炭酸塩岩がこれにあたる。また、トラップ内に炭化水素を貯蔵することの可能な多孔質で浸透性に富む岩石を貯留岩と呼び、砂岩、炭酸塩岩が一般的であるが、孔隙性や浸透性が高ければあらゆる種類の岩石が貯留岩になりうる可能性を持つ。

 生成した炭化水素は根源岩中から排出され、貯留岩中へと移動する。さらに貯留岩中を上方または側方に再移動し、トラップに到達すると帽岩の直下に天然ガス、原油、水の3相に分離して集積する。

 衛星画像上における地質判読を通じて対象地域の層序・構造の概要を把握することによって、石油根源岩・貯留岩・帽岩の発達の有無と程度、トラップのタイプ等に関する予測が可能となることから、リモートセンシングは石油探査の初期段階における予察手段として重要な位置を占める。


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