Subject   : GPM(全球降水観測計画)

カテゴリー : 技術 > 


 GPM(Grobal Precipitation Measurement)
 全球降水観測計画 (GPM, Grobal Precipitation Measurement) は、人工衛星を用いて地球全体の降水・降雪量を観測する国際的な計画。一機の主衛星と多数の副衛星からなり、北極・南極を除く地球上の大部分の地域の降水・降雪量を3時間ごとに観測する予定である。日本とアメリカを中心に、フランス、インド、中国などと協力しながら計画が進められている。

TRMM後継ミッションとしての要素 GPMは、1997年11月に打ち上げられ2009年3月現在も観測を継続している熱帯降雨観測衛星 (TRMM) の後継・拡張ミッションである。

TRMMは南緯35度〜北緯35度の低緯度地域の降水分布を観測する衛星であり、台風の進路予測や降水量予想などの短期現象への利用のほか、10年を超える熱帯・亜熱帯地方の降水観測データの蓄積により、地球全体の大気循環・エネルギー循環の解明、年次毎の降水パターンの観測、エルニーニョ等の異常気象の研究などに多大な貢献をした。

● GPM計画
GPM計画では、二周波降水レーダ (DPR : Dual-frequency Precipitation Radar) および多周波マイクロ波放射計 (GMI) の二つの観測機器を搭載した一機の主衛星と、マイクロ波放射計またはマイクロ波サウンダを搭載した複数の副衛星(コンステレーション衛星)が用いられる。
主衛星
主衛星はGPMコア衛星と呼ばれ、日本の宇宙航空研究開発機構 (JAXA) とアメリカ国立航空宇宙局 (NASA) によって共同で開発される。二周波降水レーダ (DPR) の開発と衛星の打ち上げは日本、衛星本体と多周波マイクロ波放射計 (GMI) の開発はアメリカによって行われる。打ち上げ後の衛星の追跡・管制は NASA が担当し、観測データの処理は JAXA、NASA のそれぞれで行う。
主衛星は傾斜角65度、高度約407kmの地球を周回する低高度の太陽非同期軌道へと打ち上げられ、北緯65度〜南緯65度の地域の降水量の観測を行う。設計寿命は TRMM と同じ3年2ヶ月、軌道調整用の燃料は5年分を搭載する。
当初は2007年度の打ち上げを予定していたが、NASA 側の予算不足により2度延期され、2013年度の打ち上げに変更された。
副衛星
副衛星には、マイクロ波放射計や散乱計を搭載した既存の地球観測衛星を使用する方針である。GPM 計画専用の副衛星は NASAの開発するものとブラジルが開発するものの2つのみである。
現在のところ、JAXA が2011年に打ち上げる予定の GCOM-W1 や NASA の開発する GPM 専用の副衛星や極軌道周回衛星 NPP、アメリカ海洋大気圏局 (NOAA) の運用する極軌道気象衛星 NPOESS、NOAA、DMSP-F18/19/20などのデータを利用する予定である。このほか、インドとフランスが運用するMegha-Tropiquesや欧州の METOP-B, C、中国の気象衛星FY-3C, 3E等のデータ利用についても調整が行われている。
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