Subject   : 日本版預託証券(Japanese Deposit Receipt)

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 日本版預託証券(Japanese Deposit Receipt)
 外国企業が国外で資金調達手段として発行する代替証券(DR)の日本版のこと。日本政府や東京証券取引所が解禁に向けた準備に入っている。本国で発行している原株式を信託銀行が預かり、それを裏付けに預託証券を発行、上場する。預託証券は外国企業が国外で現物株式を発行するのが難しい場合や、株式の決済や流通制度が本国と異なる場合に利用することが多い。

 預託証券では米国で発行するADRが有名。日本企業は米国の仕組みを使って1970年代にニューヨーク証券取引所に相次ぎ上場、成長への足がかりにした。日本が制度を整備すれば、今後の成長を目指すインドなどアジア企業にも同じような効果が見込める。米欧を中心に世界の預託証券の取引額は06年に約1兆7,000億ドルと前年比で6割増えた。

 日本政府は2007年秋にも施行される金融商品取引法などを日本版預託証券の根拠法にする考え。政府などは自国や地域の規定で、海外の証券取引所に株式を直接上場することが事実上できないインドや台湾などの企業の上場を期待。07年7月には甘利明経済産業相がインドを訪問してJDRを活用するよう要請した。インドの大手財閥、タタグループも前向きに検討しているとされる。

 日本版預託証券が解禁されれば、日本の個人投資家はアジアの新興企業などに円建てで国内株と同じように投資できるようになる。信託銀行などを通じて議決権を行使したり、配当を受け取ることもできる。ただし、企業が破綻した場合のリスクは株式と同じように、購入した投資家が負う。

 外国企業にとっても、日本での資金調達の道が広がるほか、一般に信託銀行が上場申請書類の作成やIR(投資家向け広報)などを代行してくれる利点がある。  政府は預託証券を解禁する条件として、有価証券報告書を財務局に提出することや、顧客を勧誘する際に発行株数、発行価格などを記した目論見書を顧客に提示することなどを求める方針。投資判断に大きな影響をあたえるような場合には、証券取引所への情報開示や報道発表などを通じて説明責任を果たすことも要請する。


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