Subject   : 偏波(polarization)

カテゴリー : 地学 > 


 偏波(polarization)
 空間を伝播する電磁波は進行方向に直交し、かつ互いに直交する振動電界と振動磁界から成るが、偏波は電磁波の電界の振動方向を表現ないしは規定する言葉である。

 たとえば、電界の振動方向が一定の波を直線偏波、振幅一定で回転しながら伝播する波を円偏波という。太陽や地球などから放射される熱放射はいろいろな方向を向いた直線偏波の重ね合わせで、平均的には波は偏って(偏光して)いない。一方、アンテナから送出されるマイクロ波などの電波は必ずある決まった偏波状態をとる。また、アンテナは一般にある決まった偏波の電波だけを受信する。

 光波長域のリモートセンシングでは、偏っていない自然光を対象とするため、偏波を積極的に活用することは行われない。これに対してマイクロ波波長域のリモートセンシングでは、偏波は観測上の重要なパラメータである。マイクロ波による観測では、通常、地球表面を斜めに見込むが、その場合に、電界の振動方向が地表面に平行な直線偏波を水平偏波、それに直交する直線偏波を垂直偏波という。

 SARでは送信と受信の偏波を独立に規定でき、4種類の偏波の組み合わせがとれる。それらは、水平、垂直偏波をそれぞれH、Vと表し、それらを送受の順に並べた、HH、HV、VV、VHの組み合わせである。日本のJERS-1のSARではHHで観測する。 SARの偏波に関しては、偏波の伝える情報をより幅広く追求するポラリメトリの研究が近年活発である。


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