Subject   : 軌道要素(orbital elements)

カテゴリー : 地学 > 


 軌道要素(orbital elements)
 軌道とは“天体が運動する経路”である。すなわち、“人工衛星の飛行する経路を表すパラメータ”である。衛星は空間を運動の法則に従って飛行しているので、ある時刻の位置と速度が判れば衛星の過去と未来の位置を計算することが出来る。  空間は3次元であるから、慣性座標系で人工衛星の位置と速度を表すには6個の独立したパラメータ、即ち、位置を表す3個の成分と速度の3成分で表すことが出来る。また、人工衛星の位置は時々刻々動いており、それに伴って速度も大きさと方向が変化している。しかし、2体問題では軌道の形や軌道面は変わらないので、軌道を表す6個のパラメータとして大きさ、形とその向き、軌道面の傾きとその方向及びある時刻での軌道上の位置を使うことが出来る。この1組のパラメータを軌道6要素(ケプラリアン軌道要素)といい次のように示される。

(1) 軌道長半径:a  軌道上の地球に最も近い近地点と最も遠い遠地点及び地心は一直線上にある。近地点〜遠地点の線分(長径)は軌道の大きさを示す。軌道要素としては長径の半分を採用し、軌道長半径と呼ぶ。

(2) 離心率:e  ケプラーの法則により、地心が軌道楕円の焦点である。従って、軌道の形は軌道楕円の中心と焦点との距離によって決まる。この距離は軌道の形が同じであれば軌道の大きさaに比例するので、これをaeとすると、このeは楕円の離心率であり、軌道要素としても離心率と呼ぶ。

(3) 軌道傾斜角:I  赤道面と軌道面のなす角

(4) 昇交点赤経:Ω  赤道面上で春分点方向から昇交点までの東回りの角度を言う。慣性空間では春分点方向を基準として赤経、赤緯で位置や方向を表す。

(5) 近地点引数:ω  軌道の向きは軌道の長径の向きで表せば良い。軌道の向きを軌道面内で考えるとき、その基準方向を昇交点(衛星軌道面と赤道面との交点で、衛星が赤道面を南から北へ通過する点をいい、その反対側を降交点という)方向にとる。昇交点から衛星の運動方向に近地点まで測った角度をいう。

(6) 近点離角:f、E、M或る時刻での衛星の軌道上の位置。 f、E又はMで表され、eにより関係づけられる。遠地点と近地点に於いてのみf=Mとなる。

f: 真近点離角(衛星の真の位置を表す。変化の早さは軌道上の位置により変わるため、計算には不便である)
E: 離心近点離角(中間パラメータ計算に使用する)
M: 平均近点離角(動きが一定)
 ここで春分点とは太陽の黄道面と地球の赤道面との交点のうち、特に春分時の太陽方向にある交点をいう。


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