Subject   : 新株予約権(equity warrant)

カテゴリー : 政治・経済


 新株予約権(equity warrant)
 新株予約権とは、企業が発行する株式をあらかじめ定めた価格(権利行使価格)で買い付けることができる権利をいいます。2002年4月に施行された改正商法で導入されました。この仕組みは一般にはオプションと呼ばれ、わが国では転換社債や新株引受権付社債、ストック・オプションなどに組み込まれていましたが、改正商法では、これを新株予約権制度として明定し、併せてそれまで存在した新株発行規制やストック・オプション制限を撤廃しました。

 従来、転換社債、新株引受権付社債(非分離型)、同(分離型)と分けられていたものが、改正後には、転換社債と新株引受権付社債(非分離型)が新株予約権付社債(転換型と非転換型)に統合され、新株引受権付社債(分離型)は新株引受権付社債(ワラント債)と定義されました。

 新株予約権は単体で、かつ付与する対象者の制限なしに発行できるようになったため、敵対的企業買収への対抗策として利用する途が開けました。2007年、ブルドックソース社は、スティール・パートナーズ・ジャパンによる敵対的買収の防衛に成功しました。ブルドック社は全株主に無償で新株予約権を交付し、スティール以外の株主に対し新株予約権の株式転換に応じることにしたのです(2007年7月11日発効)。その結果、スティールの持株比率は10.52%から2.86%に低下し、経営権奪取の試みは失敗しました。ただし、スティールの新株予約権は株式への転換が認められない代わりに1株当たり396円、総額23億円が支払われており、会社もそれなりの犠牲を払ったことになります。

 また、新株予約権は、ストック・オプションとして従業員の士気向上に役立つとされ、とくに新興企業等において乱発する傾向が見られました。そこで、2006年5月に施行された会社法では新株予約権の行使に伴う費用計上(権利行使に備えて自社株を市場から買い入れ金庫株にしておくための費用など)を義務付けました。このため、新株予約権発行を自粛する企業も出てきたといわれます。

● Convertible Bond
  CB(転換社債型新株予約権付社債)とは、当初は社債として発行され、一定期間内に保有者が発行会社に対して請求すれば、あらかじめ定められた価格(転換価額)で、株式へ転換できる社債のことです。CBは、当初決められた価格で株式に転換できることから、発行会社の株価が上がれば、CBの価格も値上がりします。株価が上昇しなければ、年に1度か2度の利払日に利息を受け取り、満期時に額面金額(100円)を受け取ることもできます。つまり、CBは決められた利息を定期的に受け取り、満期時には額面金額で償還されるといった債券の魅力と、株価が上昇するとCBの価格も上昇し、転換すれば株式として保有し続けることもできるといった株式としての魅力も兼ね備えています。
 ⇒ 株式 (Equity)

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