Subject   : 資本(capital)

カテゴリー : 政治・経済


 資本(capital)
 資本とは、一般に事業を行う上での元手となる資金のことですが、経済学では個人や企業がモノ・サービスの生産を行うに当たって利用する機械や設備、つまり物的な財も資本といいます。
また、株式会社を規定している会社法では、貸借対照表において「純資産の部」にある「株主資本」である資本金、資本剰余金および利益剰余金を当てています。会社の債権者保護のために、株主の出資を一定額以上、会社財産として保有させる仕組みを意味しています。そこでは、資本維持の原則、資本充実の原則、資本確定の原則および資本不変の原則が適用されています。

 ところで、会社は、株式の発行価額の2分の1以内を資本金に組み入れずに、その処分の要件がより緩やかな資本準備金へ組み入れることができます。資本準備金とそれ以外の減資差益等の資本剰余金をあわせて「資本剰余金」と呼びます。また、会社は営業活動等の成果として稼いだ留保利益を、利益準備金や剰余金として維持することもできます。これを「利益剰余金」と呼びます。こうした科目が、会社の貸借対照表の「資本の部」を構成しています。他人からの負債ではない、このような会社の財産を広い意味で資本あるいは「株主資本」と呼ぶこともしばしばあります。この広義の資本は会社の「自己資本」もしくは「純資産」とも呼ばれています。

● 資本準備金(capital reserve)
 資本準備金とは、株主から払い込まれた金額のうち、資本金に組み入れられなかった部分の金額(株式払込剰余金)が積み立てられたものをいいます。このほか、株式交換、株式移転、会社分割および合併による差益も資本準備金に積み立てられます。このうち合併差益とは、合併によって受け入れた消滅会社の純資産がその株主に対して交付した株式によって増加する資本金(および合併交付金)を超えるときにおける、その超過額のことです。他の差益も同様の趣旨であって、会社が資産を受け入れて株式を発行し、資本金を計上する際に、資産の公正価額が資本金を上回る分は資本準備金として積み立てられます。

● 純資産
 純資産とは、資産の部の合計額から負債の部の合計額を控除した額で、株主資本、評価・換算差額等、新株予約権、少数株主持分に区分され、さらに株主資本は、資本金、資本剰余金、利益剰余金、自己株式に区分されます。純資産は、会社が解散しない限り株主へ返済する義務のない資金であり、株主は、会社経営者が効率よく純資産を使って利益を上げ、株主へ利益配当を行うこと、また経営成績を反映して株価が上昇することを期待しています。

● 株主資本 (shareholders' equity)
 狭義では資本金、資本剰余金、利益剰余金、自己株式の合計のこと。  従来は資本の部と同義だったが、新しい基準の導入により、純資産の一部分を構成する用語になった。株主資本利益率(ROE)など、従来の株主資本を使った指標との連続性を確保するため、従来の株主資本に代わる言葉として「自己資本」という概念が使われている。
 ⇒ 株式 (Equity)

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